我が国で不動産がこのように利回り情報が公開され、入手も容易ならば、誰でも投資を検討するはずだ。さらに小口での投資が可能で数0万円単位で参加できるのであれば、市場は確実に活性化するはずだ。利回りデータの形式には2つのレベルがある。最初のレベルは、各不動産の個別の収益データで、もう1つは売買データから計算される利回り率である。この2つを大量に収集・分析することで、適正な利回り率が得られる。アメリカでは、不動産の利回り率専門のデータ機関がいくつもある。例えばオフィスビルも都心夕イプ、市街地タイプなどの立地別、また、低層、高屑などの規模別にその利回り率をデータとして得ることができる。ホテルでもスーパーマーケットでも同様だ。また各利回りが各主要都市別にも計算できている。このような素晴らしい情報環境は、各不動産の収益データが豊富にそろい、また売却データも登記帳に全部記載されているから成立しているのである。そして利回りが自動訓節機能となっている。欧米では、各々の不動産の利回りを求め、それを他の投資対象と比較して、どれに投資をするかを判断する。利回りが魅力的であれば人々が多くの投資をし、それをみて不動産建設、開発など市場では供給が増える。すると、次第に賃料が下がり、利回りの高さが次第に減じられてくる。すると、供給が減り始め、需要の方がタイトになっていき、今度は賃料増にはね返る…というメカニズムがきちんと働くのである。投資判断には、この利回りだけでなく、価格自体も重要な指標となるが、この価格を評価するにも、利回り情報が不可欠で、価格水準に決定的な影響力を持つのもこの利回りである。今、日本ではだれもが不動産の適正価格がどれだけの水準か知りたがっている。もう下げ止まるのか、まだ下がるのか、どこが収束点か。しかし、価格を求めるには賃料と利回り率が必要だ。アメリカでは投資用不動産の適正な価値を求めるのには通常、賃料等のキャッシュフローと利回り率より求める。例えばオフィスビルの場合、テナント賃貸料のようにビルのオーナーが手にする総収入から総コストを引き、残った純収益をその不動産の生み出す果実とみなし、それを利回り率で割ると、価格がでる。ところが、賃料と不動産価格が連動しない日本では、利回りが全く計算できない。利回りとは岡定的なものでも、国が定めるものでもない。刻々と動く市場に表れてくるものである。連動している価格と賃料の関係を大量のデータから分析してはじめて導くことが出来るものだ。よって、賃料と価格が連動していない従来の日本では、正しい利回り率は求め得なかったのだ。